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食品製造現場の帳票を電子化!課題とIoT化に向けて実現できること

食品製造業の現場で活用する帳票の電子化

製造現場に検査票や作業日報などの紙があふれていませんか。

食品製造業の現場では、日々の作業で記録する紙の帳票が蓄積されています。増えていく帳票に対して、現場作業担当者は仕事と割り切って淡々と対処していることが考えられます。

食品製造業は、原材料の高騰などで値上げを余儀なくされています。そのような状況において、食品製造業はコスト削減が課題となるでしょう。製造現場の帳票にかかる作業なども見直すことも大切です。見直す取り組みとして、帳票を電子化する方法があります。

今回は、食品製造現場の帳票を電子化する取り組みについて解説します。食品製造現場の帳票が抱える課題や作業工数を削減するポイントなども紹介しましょう。

食品製造現場における帳票の課題

食品製造現場の抱える課題は、紙の帳票で行っていることです。紙の帳票の場合は、次の点が負担になります。紙の帳票は、作業中の画像と連携する手間や記入漏れの発見に時間がかかります。

また、紙の帳票に時間のかかる要因は、次の工程が考えられます。

  • 作業担当者が紙の帳票に手書きで記入
  • 管理者が手書きの帳票を収集しデータ入力

管理者による帳票を収集しデータ化する手段では、Excelへの転記が考えられるでしょう。手書きの帳票は、Excel転記の段階で精査しなければなりません。手書きから手作業で転記する場合は、数字や文字の読み取りなどの手間や時間を要します。

つまり、食品製造現場の帳票における課題は、作業工数の無駄が発生していることです。

  • 手書きで記入
  • 手書きの帳票を収集
  • データ入力および集計

この工数が削減できれば、大きなコスト削減につながります。

帳票の電子化から実現できる3つのこと

帳票の電子化により実現できることは、次の3つです。

  • ペーパーレス化
  • 手書き文字のテキスト化
  • データ化

ペーパーレス化

製造現場の帳票は、稼働状況の記録や検査票などを手書きで記録しています。そのため、紙を使っている状況です。紙の帳票は、物理的に紙の書類が増えていくだけではなく、手間や時間も増やしています。

ペーパーレス化は、紙の帳票から脱却するための取り組みです。その効果は、紙を減らすことだけではなく、現場作業で発生する次の課題解決へとつながるでしょう。

  • 紙の日報作成業務の削減
  • 管理監督業務の負担軽減
  • 紙の報告書などの保管業務削減

ペーパーレス化のメリットについてこちらの記事でくわしく解説しています。
企業がペーパーレス化するメリット・デメリットを分かりやすく解説!

手書き文字のテキスト化

帳票の電子化は、手書き文字のテキスト化にも役立ちます。紙の帳票は、手書きによる記録漏れや記入ミスが課題として考えられます。手書きの紙帳票の場合は、それらの不備をチェックする工程が必要です。

また、紙の帳票は、記入やチェックを人の手で行わなければなりません。紙の帳票というだけで、生産工程が増える可能性があります。

  • 作業日報
  • 不良日報
  • 設備管理日報
  • 検査表
  • 作業チェック票

これらの帳票を紙で書くことは、全体的な生産状況を遅らせる要因のひとつです。その改善として役立つ方法が、手書き文字からのテキスト化。手書き文字からのテキスト化は、AI-OCRを使った手書き入力で実現できます。

AI-OCRは、手書き文字や印刷文字をテキスト化するOCR(Optical Character Recognition/Reader:光学文字認識)とAI(人工知能)が統合された仕組みです。通常のOCR以上に文字認識率が高いため、テキスト化の精度向上を期待できます。

AI-OCRを活用した手書きからのテキスト化については、こちらのページでもご確認ください。
AI OCRとは?メリットや導入の注意点|RPAとの連携などを解説

データ化

手書き入力した情報をExcelなどに転記する目的は、経営分析ではないでしょうか。帳票の電子化は、情報をデータ化することで外部サービスと連携ができます。

たとえば、取引先の情報を管理する顧客管理システムとの連携ができれば、トレーサビリティの強化にも期待できます。トレーサビリティは、食品の流通経路を明確にする仕組みです。

● 原材料の調達
● 生産加工
● 消費者への提供または廃棄

これらの経路を明確にすることは、企業の安全性と信頼性の向上にもつながります。食品製造の現場では、顧客評価を高める指標として有効です。

参考:農林水産省「トレーサビリティ」

帳票のデータ化は、流通プロセス上で発生する問題の早期発見にも役立ちます。その理由は、帳票の段階で記録をデータとして保存できるからです。現場入力の情報をデータ化できれば、問題への迅速な対応が実現できます。

製造現場の電子化の先に見えてくるIoT化


食品製造現場の帳票電子化は、IoT(Internet of Thing:モノのインターネット)化への準備に役立ちます。IoTは、製造現場の設備や人などをネットワークでつなげるデジタル技術です。企業変革を目指すDXの取り組みとして注目されています。

食品製造企業がDX目的でIoT化を進める場合は、資金面や戦略面において大きな資金投入が考えられます。そのような資金投入はすべての企業で実施できるわけではありません、

着実に取り組むには、小さな課題に対して資金投入で始める必要があります。製造現場の帳票電子化は、その小さな取り組みとして着実に導入成果を実感できます。コスト削減の成果を積み重ねることで、将来的なIoT化も見えてくるでしょう。

食品製造現場の帳票電子化の事例

食品製造現場の帳票電子化は、実際の事例をふまえて紹介します。茨城県に本社のある即席麺および乾麺製造販売の企業「Y社」は、製造工程の検査項目帳票におけるデジタル化を実施しました。帳票電子化により、日々の作業時間43分の削減を実現しています。

製造工程においてアナログの部分は、紙帳票の情報収集や手書きでの記入などです。アナログな仕組みが後工程の煩雑化を引き起こし、結果的に工数が増えている状況でした。

同社の取り組みは、帳票電子化に向けたタブレットの導入です。また、タブレット入力から基幹システムへの連携も可能にしています。それにより、検査項目の重複する部分や必要のない検査項目なども検出できました。

製造の工程ごとに、手書きからPC導入のデジタル化を検証し、可能な工程からPC導入を実施しました。帳票電子化への移行は、不必要な項目の精査にも役立ちます。同社による帳票電子化の成果は次のとおりです。

帳票電子化の成果

生産性向上・目標値:104%増
・改善後数値:105%増
対象工程配置人数変更なし
対象工程作業時間合計削減作業時間:1日43分(見込み)
対象工程における生産量実質的な生産量アップなし
労働生産性による算出では数値上「16食/mh」増
その他効果電子化による効果
• 記録データの迅速な各部門間連携が可能
• 情報の多くをリアルタイムで確認可能
※ 帳票電子化の対象工程のみ

出典:農林水産省「食品製造業の生産性向上事例集

まずは帳票の電子化で小さな変革から始めてみよう

食品製造業の現場では、手書きの帳票が課題となっています。課題を抱えたまま続けると、労力や時間の無駄は改善されません。帳票の電子化を進めていないと、取引先から受ける印象にも影響します。電子化している取引先は、紙の帳票に対して正確性を不安視する場合もあるからです。

タブレットによる手書きからのテキスト化は、電子化の入り口として有効な手段です。

タブレット上で手書きする帳票は、現場作業担当者の理解を得ながら進めていく小さな業務改善の取り組みとなるでしょう。DXで大きく変革する前に、小さな変革を帳票の電子化から始めてみませんか。SHIORIは、そのような役割を持って利用できる手書きのデジタル化支援ツールです。

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